≪2019年9月下旬≫
この頃の夫の行動はといえば、普段はあまり行かない飲み会が増えた。
夏前までは、あってもせいぜい週に一度かそれ以下。
夫からの離婚宣告以降は、週2回くらいは行っていた。
毎回、飲みに行くときは、
会社の人の名前が挙がっていたが、その半分以上か、または全部、夫はわたしに嘘をついていたというわけだ。
平日の夜にでも女と会っているんだろう。
そう推測した。
女は一体どこの誰なのか。
わたしと夫の出会いが社内だったので、
また社内恋愛の可能性を疑った。
夫の事務所の座席表や電話帳を一通り眺めてみた。
・・が、疑わしい女の名前はなかった。
1ヵ月前に会社携帯から出てきた、女「N」との深夜の通話履歴を思い出した。
(名前のキーワードは二文字しかなかったが)
そのイニシャルがつく女性の名前も座席表や電話帳を一通り見たが、怪しいものはなかった。
こんな詮索の仕方で不倫相手が特定できるはずがないことも分かってはいたが、思いつくことは全部やりたかった。
何かヒントになるようなものがあれば、、、と。
また、夫の部署で聞けそうな人がいれば、
夫と怪しい人物がいないか聞きたいものだった。
全く知り合いがいないわけではなかったが、
こんな話、聞ける距離の人はなかないない。
仲のいい同僚にだって話していなかったし、社内では先日相談した先輩一人だけ。
さらに、夫の部署の人に相談する場合、
まず夫の不倫疑惑から話さないといけないし、
最悪の場合、それが夫の耳入ることだってある。
まして、相談した相手を間違えれば(=夫と仲が良ければ)、本当のことをわたしに教えてくれるわけがない。
救いを求める思いで、
衝動的に相談したくなったことも幾度かあったが、「常に慎重に」が念頭にあったので、なんとか自分をセーブした。
女の詮索が夫にバレることだけは避けなければならない。
それが最優先だった。
そもそも女は社内じゃないかもしれない、その思いもあった。